慶應義塾では、2022年から「慶應義塾SDGs会議(以下、塾生会議)」を開催し、塾生たちがSDGsに関する議論や企画を行っており、毎年12月には、それらをまとめた最終提言が提出されます。これらの提言の中から審査を経て採択された提言は塾生が主体となる「塾生会議プロジェクト」として具体化に向けたさまざまな活動を展開することとなり、協生環境推進室では、その事務局として支援を行っています。今回は、そうしたプロジェクトの中から、以下の活動についてご報告いたします。
【2024塾生会議プロジェクト】師岡小×塾生会議PJ 探究活動実施報告
2024年5月~12月にかけて、横浜市立師岡小学校と塾生会議プロジェクト「慶應生と日吉の街の交流」*がコラボし、探究活動を行いました。この活動では、「師岡小版SDGsを実践しよう!」をテーマに師岡小学校の6年3組と塾生が共に学びを深めました。
*塾生会議プロジェクト「慶應生と日吉の街の交流」は、慶應義塾大学SDGs会議-2022塾生会議での提言が採択されたことをきっかけに発足。このプロジェクトでは、日吉周辺の小学校で「大学生ブックキャラバン」や「探究活動」を開催しています。活動のコンセプトは、「近くて遠い慶應義塾大学」を「街の誇りの慶應義塾大学」に変えていくことです。
(参考)2024年1月17日実施「大学生ブックキャラバン」
「塾生会議」学生が日吉の小学生と交流、"街の誇り"の慶應大学を目指す | 横浜日吉新聞
(https://hiyosi.net/2024/01/18/keio_hiyoshi-6/)

集合写真
【実施目的】
師岡小学校の総合学習に塾生会議が関わることで、SDGsの促進を慶應義塾内だけで終わらせず、キャンパス周辺の地域に広げることを目的としています。また、小学生に慶應義塾をもっと身近な存在として捉えてほしいと考えています。
【構成メンバー】 | |
担当教授 | |
商学部長 | 牛島利明先生 |
参加学生(2025年1月当時) | |
安島芽生 | 理工学部2年 |
佐々木愛斗 | 商学部2年 |
大岩みか | 経済学部2年 |
河村尚実 | 理工学部3年 |
秋田心都 | 法学部1年 |
小野日向汰 | 環境情報学部1年 |
木内一希 | 商学部2年 |
黄智湖 | 経済学部1年 |
前川慶太 | 商学部2年 |
高村理桜 | 商学部1年 |
松本梨々花 | 理工学部2年 |
【活動実施日時と内容】 | |
7月10日 | キャンパスSDGsの紹介 |
9月24日 | 探究活動の目標決定 |
11月26日 | 興味のある分野に分かれてのグループワーク |
12月13日 | 日吉キャンパスツアー/グループワーク |
12月24日 | 成果発表会 |
【詳細内容】 | |
7月10日 | キャンパスSDGsの紹介 |
探究活動の序章として、「地域×SDGs」について勉強していた小学生に対し、慶應義塾大学でのSDGsの取り組みを紹介しました。大学ではSDGs達成に向けてどんなことをしているのかを知ってもらい、師岡小学校で出来ることは何であるかを考えるきっかけになりました。

塾生会議プロジェクトで実施している内容一覧


「キャンパスSDGs紹介」の様子
9月24日 クラス・個人の目標決定
「探求活動を通して何をしたいか」を決めることを目標に活動を実施しました。前回のコラボ授業を受けて小学生が考えたことを共有し、大学生がフィードバックを行いました。そのアドバイスを元にグループディスカッションを行い、やりたいことを具現化し、実行に移すプロセスを考えました。グループごとに大学生が1人参加し、より白熱した議論を実現しました。話し合いの結果、イルミネーション・カルタ・ポスターの三つに分かれて活動を行うことに決まりました。

ディスカッションで考えたこと
11月26日 興味のある分野に分かれてのグループワーク
グループごと(イルミネーション・カルタ・ポスター)に前回からの進捗を小学生が大学生に報告しました。その後、12月に向けた目標設定を行いました。大学生からは、見やすいポスターの作り方など小学生の参考になるような情報を伝えました。

ポスター作成のコツについて紹介

竹を用いたイルミネーションについて模索する様子
12月13日 日吉キャンパスツアー・グループワーク
安全上の理由などにより実施できていなかった「日吉キャンパスツアー」を写真と動画を用いて行いました。慶應義塾大学のキャンパスSDGsを知ってもらうことに加えて、大学の雰囲気を知ってもらうことができました。
グループワークでは、師岡小学校×塾生会議のコラボ企画が出来ないかを考え、イルミネーションの制作やコラボポスターを作成しました。

キャンパスツアーの様子

大学生がポスター作成をサポート
12月24日 成果発表会
全5回の探究活動で学んだことや達成出来たことをグループごとに発表しました。完成したイルミネーション、カルタ、ポスターの内容をみんなで確認しました。

小学生の成果発表をクラス全員で聞く様子

小学生と一緒に成果発表を聞く

小学生と同じ目線でサポート
【成果物】イルミネーション
ペットボトルと図工の時間に使用した光源を再利用するなど、SDGs視点で集められた材料を用いて、多くの人が楽しむことのできるイルミネーションを作成しました。SDGsの目標に合わせてペットボトルに色を付け、ひとりひとりのメッセージも記入しました。後日、塾生会議プロジェクト「省エネプロジェクト」が中庭の日吉パビリオンでイルミネーションを実施しているのに合わせて、展示しました。

日吉パビリオンにて点灯した様子

目標達成に向けてできることを宣言
カルタ
SDGsの目標・ターゲットを下の世代にわかりやすく伝えたいとの思いから、遊びながらSDGsを学べるカルタを作成しました。小学3年生向けにカルタ大会を開催できるよう、企画書も作成しました。低学年が使うことを意識し、ふりがなを振るなどの工夫をしました。

作成したカルタ(一部)
ポスター
SDGs達成に向けて、行動を呼びかけるためポスターを作成しました。師岡小学校の廊下や教室にアンケート付きでポスターを貼り、効果を測定しながら小学生に働きかけました。 また、慶應義塾大学に掲示するポスターも作成しました。小学生が作成したものを大学生がインスタグラム風に加工し、コラボポスターを作成しました(下記写真参照)。

コラボポスター
【参加者の声】
小学生の声
探究活動を通して、SDGsについて学び、今まで以上にSDGsを意識して生活するようになった。
大学生にアドバイスをもらいながら、SDGsについて知ってもらえるWebページを作成することができた。
最初うまくいかず困っていたが、大学生のサポートを受けて、改善し乗り越えることができた。
相手を意識することが大切だと学び、対象学年に合わせたカルタを作ることができた。
遠いと感じていた慶應義塾大学が身近に感じた。
大学生の声
素朴でエネルギー溢れる小学生を見て、大学生側も刺激を得ることができた。
久しぶりに小学校に戻り、とても懐かしくなった。
「自分たちが小学生だったときの価値観」と「今の小学生の価値観」がかなり違うことがわかった。私の中の常識がアップデートされたかなり貴重な経験でした。
主体的に協働して活動に取り組む小学生と同じ目線で活動に取り組めたのは、貴重な機会だった。
大学生が小学生をサポートするだけではなく、むしろ小学生の柔軟な発想に学びを得ることが多かった。
小学校を訪問する度に小学生のパワーに圧倒され、自分も頑張ろうという前向きな気持ちになった。
学んだことをすぐに吸収して表現する小学生の成長速度に驚かされた。それと同時に自分も勉強を続けなければ、古い価値観のまま過ごしてしまいそうだと少し焦りを感じた。
【さいごに】
今回の探究活動の最も良かったところは先生・小学生・大学生が共に学ぶ姿勢で取り組めたことだと思います。時間の都合や資源不足で上手くいかないことも多くありましたが、協力し合い、師岡小版SDGsを実践しました。6年3組の皆さんにとって、大学生の存在がより身近なものになっていたら嬉しいです。日吉キャンパスの近くに住む小学生が慶應義塾をもっと身近に感じ、「街の誇りの慶應義塾大学」にするために、これからもこの塾生会議プロジェクトは活動を続けていきます。