慶應義塾大学における障害学生支援

障害学生支援室開設

担当常任理事      
兼協生環境推進室長  奥田暁代

 慶應義塾はこれまで障害のある学生の修学機会を保障する取り組みを続けてきました。新たに障害学生支援室を開設することで、全学的なバックアップ体制を整え、更なる支援の充実を図ります。
 まず、障害者差別解消法等に基づき、全ての学生が等しく教育を受けられるよう必要な調整をします。10 学部14 研究科を擁する慶應義塾では塾生の学びも多岐にわたるため、障害学生支援においても一人ひとりの学生の多様なニーズに合う対応が問われます。具体的には、障害のある学生からの社会的障壁除去の対応を求める意思表明を起点に、各学部・研究科がアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーに沿って、学生と建設的対話を重ね、合理的配慮内容を決定していきます。障害学生支援室では、全学で実施されてきた支援の記録や情報を集約、整備、共有することで、状況に合った配慮提供を援助します。学外機関との連携やネットワークの構築も、支援室が果たす重要な役割です。
 障害学生支援室ではこのほか、障害についての理解を深めるために、また効果的な対応を検討するために、教職員を対象としたワークショップ等を実施します。現場の支援を後押しすることも、支援室が受け持つ役割と位置づけました。さらに、e-learning コンテンツ等を活用した啓発を続けていきます。障害学生支援は担当する教職員に留めるものではなく、誰もが支援の一翼を担うことを等しく心得る協生環境を整えなければなりません。このような幅広い活動を@ease プロジェクトと名付けました。
 @ease プロジェクトでは、教職員と合わせて学生も支援に参加します。研修を受けた@ease サポーターは、障害のある学生の支援とバリアフリーに関する活動を行います。障害のある学生と障害のない学生がサポート活動を通じて学び教え合い、充実したキャンパスライフを実現させる一助を意図しました。 @ease サポートでは、研修を通じて十分な知識を習得することで、障害のある人もほかの障害のある学生のサポーターとなります。誰もが支援に取り組み、また支援を得る、支援の一環となることを@ease プロジェクトは目指しています。
 障害学生支援室は、障害のある学生を応援するプラットフォームとなり、教職員をサポートしながら、信頼に基づいた協生環境の醸成を目指します。障害の有無に関わらず、慶應義塾の卒業生はさまざまな分野で活躍してきました。多様な学生が安心して学びを享受し、多くの機会を得ながら卒業し、先導者として社会の改革を推し進めることを期待しています。