「女性のからだ支援~Breezeプロジェクト~」の取り組みとして、2022年10月12日(水)に、からだセミナー「性分化とトランスジェンダー」を開催いたしました。
からだセミナーシリーズ第6回となる今回は、慶應義塾大学病院副病院長であり性分化疾患センター長を務めていらっしゃる長谷川 奉延 医師による医学的見地からの「性分化疾患」についてのミニレクチャーと、トランスジェンダーで、性社会・文化史研究者である三橋順子先生による社会での性認識の在り方や性移行の実際についてのミニレクチャーをいただきました。
後半には寄せられたご質問にお答えしながら、大学における環境整備の必要性などについて有意義な意見交換が行われました。
ミニレクチャー
■長谷川 奉延 医師(慶應義塾大学病院副病院長・性分化疾患センター長・医学部 教授)
ミニレクチャー
『ヒトの性を構成要素に分けて考える-性分化疾患をご存じですか?』
ヒトの性を考えるとき、染色体、からだ、こころ、戸籍、という4つの構成要素に分けるとわかりやすいかもしれません。染色体やからだの性のいずれかが非定型的な先天的状態が性分化疾患です。そして、染色体やからだの性のみならずこころの性にも多様性(ダイバーシティ)があります。4つの構成要素を考えると、世界中にあなたと全く同じ性の人はいないともいえるのです。
■三橋 順子 先生(性社会文化史研究者)
トランスジェンダー(性別越境)の社会・文化史研究、執筆、講演など幅広くアクティブに活動。日本最初のトランスジェンダーの大学教員。MTFTG(Male to Female Transgender)
ミニレクチャー
『性別の移行と社会適応』
トランスジェンダーで、性社会・文化史研究者である三橋順子先生に、社会における性別認識、身体の自己決定、身体の移行の実際などを、社会適応という観点からお話しいただきます。
ご参加いただいた皆様からのご感想をご紹介します
●先生方のお話が初めて知ることばかりで興味深く、一つの質問に対して2方向からの回答を聞くことが出来たのでためになった。
●社会的にマイノリティな方々の理解は自分だけでは難しかったり、専門的な立場にある人の正確なお話を聞くことで初めて理解できることもあったりするので、お話を聞いてより多くのことを知りたい、理解したいと思ったからです。
●今まで全く知らなかった性の考え方の医療現場・当事者の方の声を聴くことができたから。
●ミニレクチャーが、理論的・学術的なもの1本と、現実的・当事者的なもの1本で、バランスが良く、費用のことなど、他では聞けないことも聞けた。
●性分化について様々な視点を得る事ができた
●長谷川先生の「マジョリティの中にも多様性がある」というお話に大変感銘を受けました。このような見方を知っていれば、差別やいじめも起こりにくくなると思います。三橋先生の「大学生活の4年間が社会生活の準備・トレーニング期間になってほしい」というお考えが実現されるよう、組織全体で理解を深めていければと思いました。
なお、本イベントは、後日アーカイブ動画(塾内関係者限定)を公開予定です。協生環境推進室ウェブサイトのニュースにアップいたしますので、ご関心のある方はぜひそちらもご視聴いただければ幸いです。
【参考】
イベントページ